ジャンル
誰にも願われなかったダウナー系シュール・デス・コメディADV
(なんじゃそら)
公式サイト
販売サイト(R18)魔女魔少魔法魔 [羊おじさん倶楽部] | DLsite 同人 - R18
あらすじ(公式より)
僕はそうではない。僕には幸せになる才能がない
突如として現れた魔法少女を自称する彼女は、僕と一緒に魔法相談部なんて部活を始めて――
のら猫と間違えて友達の猫を殺しちゃった、と一人目の相談者。
いじめられてる友達の不幸が続きますように、と二人目の相談者。
轢き逃げしちゃったお父さんの殺し方を教えて、と三人目の相談者。
かくいう僕は、誰にも聞こえない囁き声で
世界中で僕だけを幸福にできない魔法なんて、きっと心底陳腐でくだらないものだろう、と。
上等じゃん、なら本当に何も変わらないのか私と試してみようよ
感想
普段は有料ノベルゲーはそこまで手を出さないが、今回はイラストの雰囲気にはまってしまい、衝動で購入した。
その感想としてまずいえるのは、「よく買った!」だろう。
最初に思ったのは、主役たち以外の個性が強すぎる。なぜここまで強烈な個性を持っているのに立ち絵が影しかないんだ。(むしろそれがいいのもある)
依頼に来る人達みんなかなりぶっ飛んでいるが、どこか共感できてしまうところもところどころあった。
例えば、「今までは自分がいじめられていて、かばってくれた人が今度はいじめられるようになった。自分がまたいじめられるのが怖いから、その人のいじめがずっと続いてほしい。」
これを読んだとき、反射的に「いやそれはだめだろう」と感じた。
しかし、考えてみると、果たしてそれは本当に悪いことで、やってはいけないことなのか?
他人を思いやることができ、他人の痛みを想像することができるのは人間の特徴だと思う。
しかし、他人の危機より自分の安全を優先することは生物としては至極当然のことである。
いじめとは社会的死につながるものであり、社会的存在である人間にとっては死の次くらいに避けたいことかもしれない。
すると、今回の疑問は「自分の命と他人の命、どちらかしか助からないならどっちを救う?」という問いに置き換えることができる。
ここで「自分を犠牲にする」と答える人を世間では「勇敢な人」ともてはやす。
しかし、これは一部の人間が得をするために作り出した風潮だと思えて仕方がない。
なぜなら、この風潮を真に受けた人間が周りに多いほど、自分はリスクを冒さず甘い蜜を吸うことができるから。
似たものとして、「嘘をつくのはよくない」という風潮、というかもはや常識も同様である。
この風潮が流布されることで得をするのはだれか。
それはもちろん嘘をつく人たちである。
嘘をつくことが悪いことだと思っている人(自分もその一人だ)は、日常から相手が嘘をついているという想定をしていないから、だまされやすく、嘘をつきなれている人からすれば格好の餌である。
このように、今自分が持っている善悪の判断が自分の心で発生したものなのか、外から植え付けられたものなのかを考えることはこの先生きていくうえで大切なことであり、この作品でそれを考える機会を得ることができた。
閑話休題。
何はともあれ、のろいちゃんはかわいかった。
ボラ部を作って依頼者を待ったりとか、文化祭で失せ物を探したりとかはあるはずのない青春時代を思い出して切なくなった。
最後のシーンの問答は心に刺さるセリフが多かった。
「障害を持っていたり、顔が醜かったり、体臭がきつかったり、etc...周りの気分を害する人たちはみんな死んだ方が全体の幸福のため」というセリフは、心の中で考えてしまうことはあっても絶対に口にすることはないセリフで、こういうのを形にして出せるのは同人ならではだなと思った。
そして、そこで終わらずに、「他人に迷惑をかけたって自分の幸福をあきらめる必要なんかなくって、そいつがやめさせようとするまでは何も悪いことなんてしてないみたいに笑って過ごそう」と返すのがとてもよかった。
このゲームの主題は「自分と他人の優先度」「善悪の判断基準」とかだと思った。
自分はまだノベルゲームに触れて日が浅いので、このくらいの分量はちょうどよかった。大体5時間くらい。
それと、BGMもかなり好みで、特に「魔望」が好きで目覚ましとかに使いくらいだった。(あんま明るい気分で起きれない気もするけど)
ちなみに、この作品はボカロ曲の魔法少女幸福論を参考にしているらしく、聞いてみたら確かに思考とか少し似ていた。
こういうはまったものから別のものにまたはまっていくのは面白い。
この作品のイラストレーターのほかの作品を見つけたらやってみようかな。
もちろん羊おじさん俱楽部も。