ヘンタイ・プリズン 感想

『ヘンタイ・プリズン』公式サイト

はじめに

今回は表題の通り、「ヘンタイ・プリズン」というノベルゲームの感想を書いていこうと思う。ただ、タイトルからもわかるとおり、これは下ネタが常に飛び交うギャグエロゲなので、もし料理などの記事から飛んできた方がいたら、そっとページを閉じてほしい。ちなみに、ここでは下ネタは出てきません。

執筆現在の時刻は午前4:30を回ったあたり。3:30くらいに本編をクリアしてキリもいいしここで寝て次の日に感想記事を書こうと思ったが、床に就いてもいろいろな考えが止まらず、「ああ、これ書くまで寝れないやつだ」とわかったので書いています。

とりあえず、演出・シナリオ・キャラに分けて書いていこうと思う。

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あらすじ

『ヘンタイ・プリズン』公式サイト

演出

  • 主人公のモノローグ中や3人以上の時のセリフ

テキストボックスには出てこないが、モノローグや他キャラのセリフの後ろでキャラが独り言を言っていたり、さらに別キャラと話すシーンが多かった。これは現実に近い形だが、今まで見たことがなかったので最初はかなり驚いた。自分が考え事をしている間も話し相手も考えたり、ほかの人と話すのは当たり前のことだが、それをうまくノベルゲームに落とし込んでいた。また、本作がギャグメインのこともあり、この"背景セリフ"でボケていたり、逆に主人公に突っ込んでいたりするのがよかった。柊一郎はずれていながらも自分のずれを自覚していないので、無自覚に彼がボケ、そのまま考え事や次の話題に移り、その後ろで他キャラが突っ込むという構図が印象的だった。この手法が一般的に使われているのかはわからないが、この作品だからこそフィットしたところも大きかったと思う。

  • 立ち絵や背景

本作では立ち絵や背景に動きがとても多く、プレイヤーを常に飽きさせないように作られていた。歩いてくるシーンだったら足音のSEに合わせて立ち絵を上下させながらスライドさせたり、背景もスライドさせたり。ノベルゲームを退屈に感じてしまう人でも、本作であれば飽きることなくプレイできるのでは、と思う。また、これは同人ではなくそれなりの値段のする作品では当たり前なのかもしれないが、かなり多くの脇役に立ち絵が用意されており、ボイスもついていたのは地味に感動した。

  • BGM

日常パートのBGMが好きだった。それだけでなく、ボケや突っ込みに対応してBGMを止めたりするのも良い演出だった。そこまでよどみなく続いていた会話が一瞬止まるのが感覚で伝わってくる。

  • 小ネタ

小ネタがかなり多かった。正直、元ネタを知らずに気づけなかった物もいくつもあるとは思うが、気づいたときはクスッとでき、元ネタを知らなくても違和感なく読み進められるいい塩梅だったと思う。

 

シナリオ

正直、ここまでしっかりと全部回収していってくれるとは思わなかった。(自分が忘れているだけかもしれないが)

たいてい、プレイすると「あのキャラはどうなったんだ?」となってしまったり、描かれても2-3文で終わってしまって残念な気分になることが1,2個はあるものだが、本作はこちらが気になっている人たちは全員しっかりと描いてくれた。個人的には、釘谷さんのその後をしっかりと描いてくれたのがうれしかった。あと、釘谷さんのくだりはかなりショーシャンクのリスペクトを感じた。監獄ものというのもあり、作品全体としても所々に近いものを感じた。ただ、出来事が似ていても作品としては全くの別物になっているのがうまいなあ、と思った。

ルートに関してはわかりやすい選択肢1か所で攻略ヒロインを選ぶタイプだった。これは対決する看守長を選ぶことでもあり、構図がわかりやすかった。すべてで脱獄するわけではなく、それぞれで目指す先が違ったのもいい。そして3人を攻略して「良い作品だったなあ」と感傷に浸っていたらなんとグランドルートができており、そこできれいにすべて回収していってくれた。ここで評価が4から5になった。

シナリオ的にも、非常に満足度が高い。

あと、エンドロールでちゃんと花丸凛の名前がバカでかく乗っていたのはポイント高かった。

 

キャラ

立ち絵もないモブキャラ含めてどのキャラも非常に個性が出ていて好きだった。

立ち絵のないキャラも一発屋ではなくシナリオ通して何度も登場し、そのたびにこちらを笑わせてきた。そして不思議なことに終盤では立ち絵すらないのに親しみを覚えるほどだった。主要キャラについても、来歴と性格や言動が合致するものが多く、「強烈なキャラを張り付けているだけ」というような印象はなかった。

特に顕著だったのがソフりん。小さいころから天才の妹のせいでコンプレックスを感じており、でも善人であるがゆえに心の底から妹を嫌うことができない。また、良くも悪くも能力的に普通であるがゆえに性格も常識的だが、幼いころからのコンプレックスとまじめさから自己啓発本を好んでいる。それぞれの「まじめ」「普通」「自己啓発本が好き」などの性質は一つだったらリアリティがないが、相互に影響しあっていると見せることでキャラが自然と出来上がってくる。逆に言えば、個性を張り付けているだけ、と思われてしまうのはこういうところが深堀できていないんだろうな、と学ばされた。とてもしっくりくるよいキャラだった。

それ以外のキャラも、それぞれの言動と設定がかみ合っており、舞台装置的な側面を感じさせなかった。特に主人公である柊一郎は、幼いころからプチネグレクトを受けていているうえにまだ幼いこと、大人になることをアマツくんに任せてしまっていることから常識との感覚のギャップが激しく、これが日常パートでのボケを生み出し、シナリオ全体での情人とはかけ離れた発想にたどり着くというのがうまかった。

 

総評

途中で結構期間が開いてしまったので正確にはわからないが、プレイ時間は50時間くらいだろうか。今まで同人作品が多かったので、ここまでしっかりとしたものを最後までプレイしたのは初めてだった。なので贔屓目があるかもしれないが、この作品は非常に面白かった。そして何よりも、企業のエロゲ(同人の反対ってなんていうんだ?)としては1本目におすすめしたい作品だった。理由は先に述べた通りで、こちらを飽きさせない要素がてんこ盛りだからだ。いくらシナリオがよくても、ノベルゲームに慣れていないと長時間のプレイは難しいし、どこかで飽きる時が来る。だから、まずは最後までプレイすることを考えるとこの作品は非常にいいと思う。ただ、順番的にはぬきたしのほうが先で、作中でもぬきたしの要素が出てくるのでそちらを先にプレイしたほうがいいかも。ちなみに、筆者もそちらは未プレイなので近いうちにやりたい。

ただ、ノベルゲーム自体触れたことない人、というか下ネタに耐性のない人には勧められないし、公共の場では言いづらいものではある。下ネタのオンパレードだし。もうほんと、読んでいるこっちが「よくそんなの思いつくな笑」と感心してしまうほど。山岸看守の脳内変換はもはや芸術の域だった。おまえはもうHENTAI懲役だよ。

触れやすいのが特徴な本作だが、かといって中身がないというわけではない。確かに、これよりももっとテーマに深く突っ込んでいる作品はごまんとあるが、ここでは考えさせるきっかけをもらえたと思う。グランドルートの所長とのやり取りがそうだ。性犯罪をなくすために性的なコンテンツを断絶すべきなのか、性的な欲求を発散させ、昇華させるために性的なコンテンツは存在するべきなのか。性的な行為というのはつまり子孫を残すことであり、これは何も間違ったことではない。それにも関わらずここまで秘匿されているのはなぜなのか。そういったことを、エロゲという媒体で描くことはとても面白かった。

 

とまあ、いろいろ書いたが、この作品には大いに笑わされたし、後半は胸が熱くなった。個人的には、実はエロシーンがそこまで多くないのも良かったところ。あまり多いと違和感を感じてしまうので、あくまで自然と必要なシーンで挿入されていたのがよかった。この文章山岸看守がいたら一発アウトだろうな

そしてまさかエロシーンでさえ笑わされることになるとは思わなかった。伊栖未ルートとか、シュールすぎてエロよりも笑いが勝った。

 

だめだ、なかなか話がまとまらない。推敲してないのがばれる。

 

割とサクサク読み進めていたのもありそこまで考察とかしてないので作品のテーマとかまではまだ言葉にできるほどまとまってないが、感想としてはこんなものだろうか。とりあえず寝る前に吐き出したいことは吐き出したので、後は明日の自分が何とかしてくれるだろう。

 

翌日

姫瑠ミニシナリオも含めてプレイ終了した。

ミニシナリオは後日追加されたということもあり、本編とは少し毛色の違うものに仕上がっていた。おそらく本編発売後のユーザーの感想などに対する答えみたいなものが入っていたのだと思う。作品作る系のシナリオだとメタ的に取り入れやすそう。発売当時にプレイしていたらもっと実感が持てて楽しかっただろうな。

また、作品作りに対するメッセージも本編よりも直接的に語られていた。おかげで、「こんなこと考えながら作っていたのか」と想像できて楽しかった。小ネタに関しては、姫瑠がロボアニメ好きというのを生かしてロボアニメネタがかなり大量に出てきた。が、自分はロボアニメを見てこなかったのでほとんどわからず少し残念だった。まあ追加シナリオなので、製作者の好きなものをさらに詰め込んだのだろう。

シナリオについては、最後の1シーンで好き勝手しまくっていた。まさかの姫瑠と結婚??というかちゃっかりプリズンに戻ってるし。

 

それらも含めて、ミニシナリオはあくまで追加コンテンツとしてちょうどよかった。これで本当に主要キャラの深堀はすべてやり切ったのではないだろうか。あっぱれ。

 

そんなわけで、このあたりで感想も締めようと思う。やりごたえがあり、常にこちらを飽きさせない良い作品だった。テーマ考察とかお堅いのはほかの方々にお任せしよう。

楽しかった!ぬきたしもいつかやります!