はじめに
僕はアニメが好きだ。
大学に入って一人の時間が増えてからは、最初は昔の名作をひたすらに漁り、それからは毎期のアニメを楽しみにするようになった。
しかし、だんだんと追う本数が減り、来期のラインナップをチェックしなくなり、ついにはほとんど見なくなってしまった。
この原因としてはアニメ以上にゲームにはまったこと、大学が忙しくなったことなどがある。
なのでこれはただの興味の変化なのだが、自分が好きだと思っていたものへの興味が薄れていくのはそれでも少し寂しい。
そんな中、最近は友達から勧められた作品を手に取ってみている。
特に、複数の友達から勧められたものだ。
比較的に感性の似通った複数の人から勧められたものであれば自分にも刺さる可能性は高い。
自分で情報0から掘り出したものが面白かった時の感動は大きいが、今はまず「面白い!」と感じたいので、感性の近い人からのおすすめの作品というのはうってつけだ。
というわけで、今回は最近勧められた「ココロコネクト」を見てみた。
ちなみにこれは数年前に別の人から勧められていて、ずっと見ていなかったものでもある。
長々と語ってしまった。。。。
これ本編の感想より長いかもなあ。
あらすじ
文化研究部に所属する八重樫太一、長瀬伊織、稲葉姫子、桐山唯、青木義文は、ある時を境に人格の入れ替わりや感情の伝道、欲望の開放などの奇妙な現象に巻き込まれるようななってしまう。
それにより5人は心の中で思っているが口には出さないこと、他人には知られたくないことなどが次々と暴かれてしまう。
それに立ち向かっていく様子を描いたもの。
感想
「山田君と七人の魔女」など似た設定の作品はあるが、それよりも人間味のある作品だった。(やまじょも好きだけどベクトルが違う)
こちらはフィクションとしてみているから簡単に受け入れてしまっている部分、例えば「もし入れ替わっているときに相手が犯罪を犯したらどうしよう」など考えて思い悩み、仲間を疑ってしまう自分が嫌になってしまったり。
しかも、この作品では入れ替わりだけでなく次々といろいろな厄介な現象が起きてしまう。
見ていることらは退屈しないが、主人公たちからしたらたまったもんじゃない。
主人公たちはそれぞれ秘密を抱えているため特に苦しんでいるが、もし自分がこの状況に置かれたらと思うとぞっとする。
誰しも人に知られたくないことの一つや二つあるし、相手や状況によって話し方や内容、つまりはキャラを多少は変えている。
もちろんこれは当然のことで、常に自分をすべてさらけ出して誰に対しても同じ自分である人なんて気持ち悪い。
しかし、それを実際に知られてしまったり、知ってしまったときに「そんなもんだ」と割り切れるほど人間は完ぺきではない。
しかも主人公たちは高校生で、まだ人格も成長途中なんだから、こんなことされてしまったら壊れてしまってもおかしくない。
そんな中、この理不尽な状況に立ち向かい、むしろこの状況をきっかけとして成長していくのは見ていて楽しかった。
きっと、5人がそれぞれ問題を抱えているのとは別に、困難な状況に陥っても立ち向かう強さを持っていると思われたから「風船カズラ」にターゲットとされてしまったのっではないだろうか。
個人的には、長瀬伊織の性格やあり方がよかった。
表面的にはいつも明るくて、みんなを助けてあげるようなキャラだけど、心の中ではいつも他人から求められる自分を演じている。
そんな彼女はいくつもの仮面を使い分けていくうちに自分がわからなくなってしまい、心の中と言動がいつもちぐはぐになってしまっていた。
そんな中心の中があらわになってしまう。
それがどんなに恐ろしいことか。
演じるのは悪いことではないが、誰しもがどうしても生来のものにこそ価値があると考えてしまう。
生まれつきそうだろうが、意図的にそう見せていようが結局それは全て自分なのに。
長瀬はその影響を最も受けたキャラだった。
結局なんで長瀬?というと「周囲からは明るいけどちょっと抜けてると思われてるけど、実際はそう演じているだけで劣等感とかでぐちゃぐちゃになってるキャラ」が好きだからです。ドンピシャでした。
長瀬以外だと、五等分の花嫁の四葉とか、少し違うけどグリザイアのミチルとか。
こういうキャラたちは「自分は周りより劣っている」「みんなの役に立たなきゃ」「皆の予想する自分でいよう」などと考え、思い悩み、苦しんでいることが多い。
そして、自分もそこまでではないにしろ共感するところがあるため、つい感情移入してしまうのかもしれない。
別に思い悩んでるわけじゃないけどね。
そういう人間臭いところが見えるととてもいい。
見始めたきっかけはそういうキャラがいると聞いたからだが、作品としてとても好きになった。
主人公の太一も周りから自己犠牲野郎と言われ、それに対して「他人を救って自分が気持ちよくなる、自分のためだ!」と言っているのが印象的だった。
自己犠牲的な主人公は多いが、そこまで考えられていることは少ない。
でも、やっぱり自己犠牲とか偽善とかってそうだよな。
直接的には相手のための行動も、最終的には自分に利益が来ることを見越してだったり、そうでなくても「人を助けて悦に浸りたい」「周囲の人が苦しむのを見たくない」とかも結局は自分のためだ。
さっきの話とも少し似ているが、偽善がよくないとされる理由はなんだろう?
結局効果が表れるのは行動に移された善であって、それが何のためかは問題ではないように思える。
おそらく、(正真正銘の善が存在するかは別として)偽善がいいか悪いかの分水嶺は「見返りを求めるかどうか」だと思う。
その点、救ったあとではなく救うという行為に悦を感じるのは相手に見返りを求めないので”よい”偽善だと考える。
このあたりの話は、昔小説で「偽物語」を読んだときに考えさせられた。
ココロコネクトは17話という珍しい話数だったが、ちょうどよかった。
他の作品ももっとクールに縛られずに内容に合わせて話数を決められたらいいのにと思う。
原作では続きがあるそうだが、最後の展開はアニメオリジナルだろうか?
気になるが、昔の作品で2期も望み薄らしいから原作かなあ。
本当は各人物に焦点を当てて感想を言えたらよかったけど、なんせ最近は対アニメスタミナが落ちているのでこのくらいにしておきます。
最後に
怪奇現象によって顕在化するそれぞれの心、仲間を信じたいという気持ちと信じられない疑心、それを自覚することによる自己嫌悪、そんな様々な心情の揺らぎをありありと描いた作品だった。
シリアスなシーンは多いけど憂鬱となったり胸糞が悪くなるものではなくむしろ後味はさわやかなので、まだ見たことのない方にはおすすめ!
今回もよい作品に巡り合えたことに、深く感謝を!