「モノクロのふたり」 感想

 

モノクロのふたり 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 表紙

はじめに(自分語り)

昔はよく漫画を読んでいたし、常に最新話を楽しみにしていたが、気が付けば距離ができていたように思う。最近ではツイッターの短編や二次創作ばかり摂取するようになっていた。

ウマ娘、ブルアカなどの本家はほとんどやらずに二次創作イラストやSSを漁り、解像度を高めるために本家を調べるという逆輸入的なことをしているわけだが、そんな中、とんでもなく癖な二次創作に出会ってしまった。

 

出会い編

www.pixiv.net

ちなみにこの作品を読んだときはミレニアムの超天才病弱美少女ハッカーのことはほとんど知らなかったので、もはや自分にとっては一時創作かもしれない。

たった2コマの漫画だが、惚れてしまった。

これから好きなところを列挙していくが、自分は何も専門知識を持たない凡人なので見当違いなことを言っていたらすんません。

 

・眼

なんといってもこれだろう。左右非対称に開かれた両目に引き込まれる。一見かわいいから離れた描写だが、魅力が伝わってくる。余談だが、ダンガンロンパ好きとしてはこのグルグル眼に知らず知らずのうちに吸い寄せられていたのは否定できない。1コマ目の自信に満ち溢れた強い眼もいいし、2コマ目の意表を突かれて動揺している波線の眼もいい。そしてそのギャップもまたいい。

 

・口

大きく開かれた口。これによってキャラが生き生きとしているように思う。あと単純にかわいいキャラの口の中見えるのっていいよね。大きい口開けてる女の子って元気な感じがしてこっちも元気になることをここで知りました。こちらが口内を覗いているとき、口内もまたこちらを覗いているのだ。。。(意味不明ですね)

 

・表情

上記2つとかぶってしまうが、全体の感想ということで。

自分は初めてイラストを見たとき、こちらを煽っているような表情に見えてしまった。が、そうじゃなかった。それはちょっと見ればわかることだし、漫画形式なのでセリフからもわかる。それを理解してからもう一度見ると、全く違うものに見えてくる。言語化するのが非常に難しいが、無理やり文章にすると、一元的な記号としての「かわいい」を超えてキャラに深みを持たせたうえで、顔だけでなく存在がかわいくなっている

。自分で何を言っているのかわからなくなってきたが、つまり「超かわいい」ということ。これを物語の展開なしで表情だけで表現できるのはとんでもないことなのでは?

そんなことを考えていると、最初はキャラ目的で読み始めた作品のはずが、気づくとこの表情が、作画が目的になっていた。完全に誘導されてしまった。

 

本編

ここまでが準備。

支部で見てみると、どうやら創作の漫画があるらしい。しかもジャンプ+で読める。

shonenjumpplus.com

 

ということで読み始めてみたら、とんでもなく面白かった。仕事中も続きが読みたくて仕方がなかったし、帰ってきてからぶっ通しで読んで最新話に追いついてしまったときは絶望した。久しぶりに漫画に夢中になり、この熱をどうにかしたいがために感想を垂れ流している。

 

どうしよう。

 

さっきと違って作品の内容が多いから何から触れればいいかわからない。同じ内容を伝えるにも演出が大事って薔薇園先生にも教わったし。。。

 

 

ということで、演出面から感想を書いていこうと思う。

ちなみに、一応ブログという体なので最初にあらすじを書いたほうが親切だが、自分があらすじを書くと平凡になってしまいそうなので、遠慮しておく。まだ読んだことのない方がいたら、あらすじは語れないが読んでみてほしい。

 

・時系列の入れ替え

リンクの画像にもなっているのでここから。作中であった「冒頭の大事さと演出による挽回」が、実はこの作品自体の冒頭にも描かれている。ということをに今気づきました。最初のインパクトが非常に重要で、いかにして作品の面白さを理解してもらうまで読み手を離さないか。この作品自体も、最初なぜか女性がバケツに吐いているところから始まり、読者は困惑する。そして、「とりあえず理由気になるからもうちょい読もう」となる。そこから、このシーンにつながる物語が始まる。映画でもよくある技法だが(by薔薇園先生)、印象的なシーンだけぶったぎって最初に配置することで読者に混乱と興味を持たせている。人ってのはわからないことをそのままにしておくのを好まないからね。

 

・キャラの口内に文字が書いてあることがある。

キャラデザきっかけでこの作品を読み始めたので、キャラを一番楽しみにして読んでいるわけだが、上述したようにこの作品も例にもれずあの独特な表情が多く出てくる。すると口内を覗いてしまうのはもはや自然の摂理なわけだが、たまに口内に「!」とか「わ」とかかいてあることがある。なんかお得感ある。

演出とかたいそうなこと言って2つ目がこれってどうなんだ。

 

・テンポと言葉選び

読者に「アツい!」と思わせるにはアツい展開を用意してやる必要があると思っていたが、大事なのはアツい展開に見せることだった。それが顕著なのが、連載をかけた勝負でファンタジーで勝負することの意味を知るシーン。展開的には「次書く漫画はファンタジーで、今はこのジャンルの連載はない」というだけだが、言葉選びやイメージシーンのコマを用意することで、それがいかに難しくてワクワクすることなのかが伝わってくる。

また、漫画を描くという行為自体に動きが無い分スポーツやバトルのような躍動感を出すことは難しいと思う。その中で、セリフ回しに強めの言葉を使い、地の文や長文を最低限にすることでテンポを良くし、コマをまたいでキャラが動いている。気がする。

 

次は作画とかキャラデザとか。

 

・作画

不動くんが描いた背景が見開きで出てくるシーンがいくつかあるが、そのどれもが迫力がすごい。漫画家ってみんなこういう絵画みたいな風景もかけるものなの?凄すぎない?そして、事前に登場人物たちが背景の見どころを教えてくれるので、自分のような素人でも「何がどうすごいのか」を理解できて楽しい。漫画を描く漫画っていくつかあるけど、こういうメタ的な楽しみ方ができるのがいいと思う。作中で教えてもらったことをすぐにその作品自体で体験できる。そういえば斉木楠雄のψ難ではお父さんが反面教師になって漫画の演出教えてくれたっけ。。。

 

・キャラデザ

不動くんや見明 心を見ていると、作者がガタイのいいキャラが好きなんだろうなと思えてくる。見明心の初登場時は普通の大きさだと勝手に思っていたが、確か2回目に登場したときに「デカ!」と驚いた気がする。市場遼太郎の後ろにいたので小さく描かれていたが、あれめっちゃ遠くにいたってことか。狙っていたんだろうか。また、今思うとブルアカ二次創作の筋トレしてマッチョになった先生回もその片鱗があった。肩幅がすごい。

 

それに加えて、冒頭でもふれたとおり、そもそもキャラデザが好きで読み始めたので好きなのは当然として、やっぱり表情がとても豊かなのがいいと思う。

 

だめだ、何か具体的なことを書こうとしてもとめどなく「好き」という感情があふれてくるばかりで正常な判断ができない。これが癖か。何なら全部のコマで全員あの表情しててほしいまである。構図が全く同じでセリフも物語もなくても最後まで読む。

 

次は抽象的な話になるが、アツい展開について。

技や明確な結果が絵面になりにくいジャンルで、読者のテンションを上げるというのは難しいんじゃないかと思う。しかも、非現実に頼ることなくアツい展開を作り上げているのがすごい。その要因になっているものを考えてみる。

・線

タッチがとても力強い。

・色

決めシーンで、キャラの後ろに光源があることが多い気がする。漠然と光源に顔が向いているほうがポジティブだしいいのかと思っていたが、黒を多用することで迫力が増しているのか?

・説得力

展開に緩急をつけるには、読者の予想を裏切ることが重要なんじゃないかと思う。ギャップで堕ちることとかあるし。ただ、裏切るということは想定外の動きをさせるということで、それはこれまで築いてきたキャラや作品のイメージを揺るがすことになる。だから、これが行き過ぎてしまうと「なんでもありじゃん」とか「どうせ今回もなんか外的な要因で解決するんだろう」と感じてしまい、読み手は冷めてしまう。だから、読者を裏切るときこそ説得力が大事なんじゃないかと思う。そのためには読者が納得できる論理を提示したり、あらかじめ伏線をちりばめておく必要がある。しかし、何より強いのが、「ちょっとしか流れを変えないこと」だと思う。これは今までの流れとの矛盾も生まれないし、説得力もある。しかし、ちょっとしか変わっていないということはパンチも弱いということになる。この作品ではこれを演出力で補っているんだと思う。(物語を創作したことないから全然わからないけど)もし自分が漫画を描く漫画を描く(?)ことになったら、「今までアナログだったけどデジタルに変えたらスピード10倍になって締め切り間に合った!」とか「〇〇法を習得したらめっちゃ絵うまくなった!」とか道具や具体的な手法とかに頼ってしまいそう。または漫画描くシーンになると主人公の脳内再現と称して怪物とのバトルにするか。

搦手を使わずに王道の展開でアツいシーンを生み出せるのは演出のなすところなのだろう。

 

 

考えていくとまだあるだろうし、もう一周読んだら更なる発見もあるとは思うが、そうするといつまでたってもこの記事が完成しないのでこのくらいにしておこうと思う。

 

 

 

最後に中身の感想。

演出とかそっちの感想にパワー使いすぎてこっちがおまけみたいになってしまったが、箇条書きで書いておく。

・薔薇園先生が第一印象に反して熱血で面倒見いいのが好き。「話が早い人間は嫌いじゃありませんわよ」何回聞いたかわからん。毎回話早すぎる。

・自分より年下の社会人二人が仕事めちゃできる上に漫画に全力ぶつけて両立できてるのをみるとSAN値削られる。学生のころだったら純粋に「すげー!」って読めてたんだけどなあ。お姉さんとかお兄さんキャラがだんだん年下になってきました。多分そのうち田中さんに感情移入するようになる。 

・今のところ不動くんがスーパーマンなので、そのうち壁にぶち当たって苦悩するところを見てみたい。

・不動、若葉の二人の関係が近づいてラブコメになるのを期待している自分と、このまま熱血で突っ走ってほしい自分がいる。きっと、どっちに転んでも、それ以外になっても満足する気はするけど。

・タイトルからして薔薇園先生はどこかのタイミングで離脱してライバルに戻るんだろうな。「ようやっと私と同じ土俵まで登ってきましたわね」って。

・若葉の表情が好きすぎる。内面が伝わってくるし、何なら心理描写や過去エピソード入るよりもこれだけのほうが親近感わくまである。何考えてるか自然とわかる。「おもしろかったらいいジャンしてね!」のページのイラストが良すぎて毎回5秒くらい止まる。

・作者、きっとバランスボールで頭打ったんだろうなあ。。。

・女性キャラの黒目は大きく、男性キャラの黒目は小さく描くのがいいのかもしれない。

スマホで読んでいたせいで地獄の背景のシーンが見開きで見れなかったのがいまだにショック。最初の海とか「暴力は楽でいいぜ」とかは1ページで見れたので良かった。

・漫画は同じシーンでも構図や視点が自由だから、見せ方も無限。

・一回見明心に奪われてほしい。見明ルートないかな。そして若葉が苦悩して、その先で不動くんが漫画のパートナーとしてだけ大事ってわけじゃなかったことに気づく。しかし時すでにおすし。不動は純粋に見明の技量とセンスに心を奪われ、彼女の背景を描くことに満足感を得てしまう。必死に戻ってきてほしいと伝えるがすげなくあしらわれる若葉。そこであの表情!はじめて走ることをやめてしまう若葉。そんな彼女を見ていられず、不動へ直談判しに行く薔薇園。しかし実は薔薇園も複雑な心境だった。自分はいったいどうしたいのか、それすらわからず不動の前でしどろもどろになってしまう薔薇園に対して横にいた見明が一言。「あれ、話遅くないですかあ?」薔薇園撃沈!そんな中現れたのはなんと田中だった。「見明さん、これ、見てもらえますか。」面倒くさそうに見た見明は絶句する。それは見明が求め続けていた理想の背景画だった。見明の興味は田中へ移り、とんとん拍子で田中が背景担当に決まる。「あ、君はもう帰っていいよ」と追い出された不動は茫然となる。それでも漫画を描くことを諦めきれない不動は若葉へ連絡を取り、再度コンビを申し込む。若葉は純粋なので「不動君が帰ってきてくれた!」と喜び、快諾する。しかし一つ問題があった。不動は脳に強く刻み込まれた見明の衝撃が忘れられなかった。若葉のプロットを見てもどこか物足りないと思ってしまう。それは見明の策略でもあった。自分から離れられないようにするために不動の趣向を、価値基準を塗り替えていたのだ。不動は正直なので若葉にそのまま伝える。すると若葉は落ち込むどころか「絶対私のキャラのほうが魅力的って言わせるから!」と燃え上がる。若葉は窮地に立たされるほど燃え上がるタイプだった。それを見て不動も「この感じ、懐かしいな」と微笑む。それを見ていた薔薇園は「私は何を悩んでいたんでしょう。私の目的は最高に面白い漫画を描くことじゃない!」と我に返り、復活。再度三人でトリオを組み、連載の地にて打倒見明を目指す。そこは強者が集う魔窟。果たして三人は見明を倒し、田中を奪還することができるのか!?ノリで書き始めたらわけわからん方向に行ってしまった。これがさっき書いた「読者を裏切りたいがためにこれまで積み上げてきた設定やキャラを台無しにしてしまう」という失敗のいい例です。だいぶひどいので隠しておく。大事なキャラで遊んでごめんなさい。

 

 

 

さいごに

「これは熱が冷めてしまう前に形にしなければ!」という衝動の下、完全にノリと勢いで書きました。誤字脱字も結構ありそうだし、人に読んでもらえるものでもないかもしれないけど、久しぶりに創作物への熱が再燃してとても楽しかった。

この先も毎週楽しみだし、過去作も読んでみようと思う。

 

とても面白いので、読んだことのない方は読んでみてください!この記事も具体的なネタバレほぼしてないので!話が逸れすぎただけなんだけど。